みなさんこんにちは。

以前からアルバータが古生物学の聖地であることは書いてきましたが、実は地学自体がすごく進んでいることをご存知でしょうか?
これにはアルバータ州の特殊な地形が関係しています。
ここではこれらを簡単に書きたいと思います。

1. アルバータを作り上げる2つの出来事

まずはじめにこの特殊な地形を作り出した2つの大きな出来事についてです。
一つ目がロッキー山脈の造山運動でもう一方が氷河の発達です。

造山運動は読んで字の如くロッキー山脈が平地から険しい山々となったプロセスのことです。
時はジュラ紀前期(約2億年前)、北アメリカ大陸は帯状の島(日本のような列島)と衝突しつつありました。
ジュラ紀中期ごろには本格的に衝突を始め二つの陸の間には高地が出来始めたのです。
衝突は白亜紀ごろまで続き、その頃には現代のチベット高原のような大山脈が出来上がったと言われています。

IMG_1758
飛行機から望むロッキー山脈

しかし現在のロッキー山脈はチベット高原ほど高く険しいわけではありません。
ロッキー山脈が現在のような姿になったのは長い年月に渡る侵食の結果ですが、中でも最も影響したのが氷河でした。
約2.5万年前、氷河期真っ只中のアルバータは二種類の巨大な氷河に覆われていました。
一つはローレンタイド氷床(Laurentide ice sheet)で、ロッキー山脈より東側のカナダのほとんど全土を覆い尽くす厚さ数kmの氷河でした。
これほどにも巨大な氷は地形に作用されることもなく、容赦無く大地を削り取りました(そして削り取った土砂は氷河堆積物として積み上げられました)。
その結果、ロッキー山脈より東では平らなプレーリーが続いているのです。

一方ロッキー山脈と西部の地域(ブリティッシュコロンビア州)コルディレラ氷床(Cordilleran ice sheet)に覆われていました。
こちらも巨大ではあったものの、ロッキーの大山脈に阻まれる形となり、一部の山頂は氷から突き出ていたと考えられています。
その結果、山々の間の谷間に氷が張り出し、谷をより深く削り出したのです。
またローレンタイド氷床と異なりコルディレラ氷床は複数回張り出したり衰退したりを繰り返していたと言われています。
その度に山々はどんどん削られ、現在のような姿になったと言われているのです。
これらの氷河は約2.5万年前から1.5万年前までの極めて長い期間アルバータの地形を作り上げたのです。

IMG_1735
ロッキーに現存するコロンビア氷河

2. 様々な時代の岩石

上記二つの出来事により、アルバータ州では様々な時代の石を見ることができます。
何故なのか。
先述の通りロッキー山脈は二つの陸地がぶつかり合うことでできました。
二つの板を押し付け合うと、どこかで割れ目が生じて片方の板がもう片方の上に乗り上げますよね。
同じことは二つの陸地の間でも起こっており(このような割れ目を断層と言いますが)現在ロッキー山脈の山々はこの乗り上がって少し高くなった部分なのです。
この時ロッキー山脈には陸地が割れた面が露出していることになります。
つまり普段では目にすることのない、深いところにある(=古い)岩石を見ることになるのです。

図1
ロッキー山脈形成のメカニズム

このようにして現れた岩石の中で最も古いものは最初の生命が誕生した頃のものになります。
あまりにも古いため地層としてはほとんど見ることはできませんが、一部は氷河によって削り取られ、岩石は州内のいたるところにあるのです。
その多くは上に重なった新しい層の重さによって当初から色や性質が変わってしまっていますが、古い時代の地球の様子を解き明かす鍵となっています。

IMG_1576
氷河で運ばれた古代の岩。模様より枕状溶岩とわかり、このことから当時は海底火山だったと推定される。

時は変わり動物が現れ始めた頃、ロッキーを作り上げた二つの陸地は近づいてきており、その間には浅い海ができました。
このような海にはサンゴ礁が形成され、たくさんの動物が棲んでいたと考えられています。
その結果サンゴなどの殻を形成する炭酸カルシウムを主成分とする石灰岩が大量に堆積したのです。
この石灰岩は現在のロッキーの山々の大部分を占めています(ロッキーの山肌がグレーなのはこのためです)。
またこれらの岩石には多くの化石が含まれており、初期の動物の研究に大きく貢献しています。

IMG_1635
ウミユリの化石を含む古生代の石灰岩

そこからさらに時代が進み恐竜が現れた頃、二つの陸地の衝突は極大を迎えアルバータは海から陸へと変わりました。
陸になったとはいえ、まだ標高が低いため湿地帯が広がっていたと考えられています。
そのためこの時代は大量の土砂とともに動物の死骸や植物が埋もれたのです。
これらの動植物は化石となるものもいれば、石炭や石油などの資源にもなっており、科学的にも経済的にも非常に重要な地層となっています。
ちなみにこれらの層は元々は地中深くにあったと考えられていますが、のちに氷河が上層部の土砂を削り出したことにより、ロッキーの造山の影響を受けなかった州内の広い範囲で見ることができます。

IMG_1398
アルバータ州中南部のドラムヘラーで見られるHorse Thief Canyon。これら全て白亜紀の地層であり、所々にある黒い筋は石炭の層である。

恐竜が絶滅して間も無くロッキー山脈の造山がほぼ集結し、山脈の侵食とそれによって発生した土砂の堆積が中心となりました。
その後の氷河期の到来でこの頃の地層はほとんど残っていませんが、氷河が到達しなかった南部の地域では地層を見ることができます。
また氷河の衰退による氷河堆積物は州内の広い範囲で見ることができ、氷河期の環境を推定するのに役立っています。

IMG_1689
崖一面の氷河堆積物。模様から氷河湖にできたデルタ(三角州)のあとと考えられる。

このように様々な時代の岩石が一つの州で見つかるのは非常に珍しく、アルバータ大学で地学の研究が進んでいる理由の一つでもあります。


いかがでしたか?
アルバータ州は実に多種多様な地形や岩石が揃っており、地学を勉強するにはもってこいの場所なのです。
地学に興味のある方はぜひアルバータを回ってみてください!
きっと新たな発見があると思います。
それでは!

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ
にほんブログ村
にほんブログ村 写真ブログへ
にほんブログ村