みなさんこんにちは!

今回は飛行船についてです…
ついにこのブログも方向性が怪しくなってきた感じがしますが、とある授業で扱った際に非常に面白かったので書いてみることにしました。

1. 飛行船とアメコミの関係

飛行船について扱ったクラスというのが以外にも英語クラスです。
私は大衆文化に関する授業をとっており、その中でWATCHMENというDCコミックスの作品についてエッセイ課題を書くことになりました。
その内容は学術論文以外の文献も用いながら気になったことを調べよというものなのですが、ゴリゴリの理系頭の私にはキャラクターの心理状態などについて1600字ほど書ける自信もなく、飛行船に着目したわけです。

WATCHMENに限ったことではないのですが、SF漫画にはかなりの頻度で飛行船が出てきます。
ほとんどは背景に書かれている程度なのですが、WATCHMENではキャラクターの乗り物にも使われていいたり少し現れる頻度が多いのです。
しかし現実世界ではほとんど見かけることはありませんよね(私自身も覚えているだけ1, 2度、小学生以前に見た記憶しかありません)。
WATCHMEN自体は1980年後半に出版されていますが飛行船を取り巻く状況は現在とほとんど同じはずです(理由は後ほど明らかになります)。
そこでなぜこれほどにも飛行船が現れるのかについて書いたわけです。
ここでは飛行船を取り巻く様々な状況について書きつつ、WATCHMENにも少し触れたいと思います。

Archie (Nite Owl ship)
WATCHMENに登場するこの不思議な形の乗り物も設定上"Airship"、つまり飛行船なのだ

2. そもそも飛行船とは

Wikipediaさんによると…
空気より比重の小さい気体をつめた気嚢によって機体を浮揚させ、これに推進用の動力や舵をとるための尾翼などを取り付けて操縦可能にした航空機(軽航空機)の一種である。

要するに飛行船というのは空気よりも軽い乗り物のうち、思い通りに動かすことのできるもののことを指します。
つまり熱気球にエンジンと舵をつければ定義上それらも飛行船になります。
ただそれでは効率が悪い上、たくさんの機材が必要なので、普通水素ヘリウムを満たした「袋」でその軽さを実現しています。
飛行船はさらに構造から主に硬式飛行船(ツェッペリン・Zeppelin)、半硬式飛行船、軟式飛行船(Blimp)、ハイブリッド飛行船に分けることができます。
それぞれの飛行船は漢字からなんとなくどんなものか想像がつくかもしれませんが、飛行船の形がどのように保たれているかによります。

まず硬式飛行船はその形を金属の枠組みで支えています。
枠組みの分重さが加わるものの、風圧に対して変形しにくく安定しているため、大きくしたり高速移動を可能にしました。
しかし枠組みの重さから安定したヘリウムガスでの運行が難しく(=ヘリウムより燃えやすい水素での運行)、安全性が疑問視されてからはほとんど運用されていません。
ちなみに別名のツェッペリンはドイツ人の開発者の名からきています。
軟式飛行船は現在主流の飛行船で、全く枠組みを持たず、ガス(多くはヘリウム)の圧力のみによって形が維持されています。
そして部分的に枠組みを持つ、上記の飛行船の合いの子に当たるのが半硬式飛行船になります。
半硬式飛行船も現在ではほとんど運用されていません。

Goodyear Blimp (7218083746)
現在よく見かけるタイプの飛行船は軟式飛行船だ

そして次世代の飛行船として注目されているのがハイブリッド飛行船です。
これは軽い空気(=浮力)を使った飛行船に人工的な上下方向の推進力(=揚力)も加えたもので、飛行船と重航空機のグレーゾーンにいます。
簡単にいえば(見た目はほとんど飛行船にしか見えませんが)飛行機と飛行船の掛け合わせです。
比較的安価で大量に輸送ができる飛行船と地上でコントロールのしやすい重航空機の利点を掛け合わせた次世代の航空輸送機として期待されています。

3. 飛行船の黄金時代とヒンデンブルク号

1920−30年代は飛行船の開発が急速に進んだ、いわば飛行船の黄金時代でした。
その多くは軍の輸送・監視目的のものでしたが、一部は民間用にも運行されていました。
中でも精力的に開発をしていたのがドイツであり、おそらくよく知られているのがヒンデンブルク号でしょう。

ヒンデンブルク号はドイツで開発された民間用の硬式飛行船でした。
その大きさは驚くことに245mもあり、現在に至っても世界最大の飛行物体の記録を保持しています。
現在最大の飛行機とは比べものにもならず、ましてや当時の他の航空機とはまさに月とスッポン状態でした。
その内装も飛行機とはまるで異なり、ラウンジやバー客室といった豪華客船のような作りであり、それでもって客船よりは幾分早く航行することができました。
当時の人々には未来の移動手段として人気を集めたことでしょう。

しかしその夢は儚く散ってしまいます。
開発当時からナチス色の強かったドイツにはヘリウムの輸出が制限されており、より安価で手軽に生成・入手できる水素が使われていました。
(なお機体の重さからヘリウムでの運行は元々から厳しかったともされます。)
もちろん当時の技術者も水素の危険性は熟知しており、様々な対策が施されていました。
しかし1937年5月6日、この巨大な飛行船は突如炎上し、1分足らずで骨組みのみと化しました。
事故原因はいまだに不明ですが、最も有力なものとして漏れ出した水素が静電気によって引火したと考えられています。

Hindenburg burning
ヒンデンブルク号の爆発事故

ちなみにこの事故よりも悲惨だったのがイギリスのR-101号の事故(1930)でしたが、飛行途中に悪天候で墜落したR-101に対し、たくさんのメディアが集まっていた着陸基地で炎上したヒンデンブルクの方がより注目されたのです。
奇しくもR-101の骨組みの残骸はヒンデンブルクの製造会社(ツェッペリン社)に売られており、その一部がヒンデンブルクに使われていたと言われています。
これらの事故はタイタニックに並ぶ衝撃的な事故で、飛行船に対する興味は薄れてしまいました。
さらにジェット旅客機の台頭により飛行船が日の目を見ることもなくなってしまったのです。
IMG_7702 4
飛行機の台頭も飛行船がなくなった原因の一つだ

4. 飛行船の静かなる復活

飛行船に対する興味は薄れたとしても、それらに対する憧れは根強く残りました。
1970−80年代、飛行船は少しずつ一般人の前に姿を表すようになり、再び興味を持つ人たちが増えてきたのです。
そのきっかけとなったのがテレビの普及です。
スポーツ中継や映画・ドラマの撮影において、長時間滞空が可能でたくさんの機材を積むことのできる飛行船はそれまでになかったような視点を見せることができたのです。
同時に次世代型のハイブリッド飛行船の計画発表や民間飛行の再開なども起こったのがこの頃なのです。

Goodyear Blimp at 2019 Rose Bowl
スポーツの中継にも使われる飛行船

ちなみにWATCHMENが出版されたのがこの頃。
将来の飛行船に対する希望や、過去の黄金時代をあえて演出することで異世界感を出そうとしたのではないかということなのです。

5. 飛行船の将来

現在も飛行船はまだまだ開発段階ですが将来完全復活するのでしょうか。
私はすると思います。
そう思うのにはいくつかの理由があります。

まず飛行船はものすごく理想的な航空機なのです。
どういうことかというととてもクリーンなのです。
浮かび上がるためにエネルギーを必要としないため、燃料は主に推進力に使われ、長期間運用することができるのです(それも数週間から数ヶ月単位で)。
また巨大なプロペラ等もなく、比較的静かな運行ができると期待されています。
さらに離着陸するのに特別な設備は必要なく、滑走路などの設備の開発も必要ありません。

もう一つの大きな理由としてゆっくりとした乗り物にはまだまだ需要があるということが挙げられます。
高速船や新幹線、飛行機などの登場でヒト・モノの輸送が高速化されている現在でも、時間のかかる大型船や在来線の需要がなくなったことはまだありません。
時間がかかっても格安で大量の荷物の運べる貨物船・貨物列車や、ゆっくりとした旅のひと時を楽しめる豪華客船・在来特急は依然経済的な需要があるのです。
そこに船や列車よりは貨物が少なくはなるものの、多少早く、大陸・大洋間のどちらも移動できる飛行船が入ってきたとしてもなんら不思議なことはありません。

Hybrid Air Vehicles Airlander 10 ‘G-PHRG’ (36430422265)
開発が期待される次世代型のハイブリッド飛行船

新たな飛行船の開発にはまだ目が離せそうにないですね。


いかがでしたでしょうか?
飛行船の面白さを知ってもらえればと思います。
それでは。

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