みなさんこんにちは!

ここアルバータ大学ではなぜか古脊椎動物学(恐竜など)は生物学部、そのほかの古生物学は地学部に入ります。
そんなわけで(そうでなくとも)生物学を学ばなければならないのですが、最近DNAの発見と研究史について学び、面白かったので是非シェアしたいと思います。

1. たった4つの塩基からなるDNA

多くの方もご存知かと思いますが、DNAはA(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)4種類の塩基で作られています。
つまり私たちの「設計図」はたった4つの情報を組み合わせたものなのです。
そんなこともあってDNAの構造が明らかになった当初、我々の遺伝子情報を記録するには足りないと考えられていました。
それよりも20種類以上のアミノ酸からなるタンパク質の方がより多くの情報を持っていて、遺伝子情報を担っていると考えられていたのです。
もちろん現在はDNAが遺伝情報を持っているとわかっているわけでありますが…
言われてみればたった4種類の情報だけで、私たちの体のすべてに関する設計図が作られているのは信じがたいことかもしれませんが、よく考えてみると案外当たり前のことなのかもしれません。

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私たちが他の動物と違うのはたった4つの塩基で決められている

最も身近な例として数字が挙げられます。
数字は0から9のたった10の文字を組み合わせるだけで無限に作り出すことができます。
そして(もちろん)それらは唯一無二のものなのです。
4種類の塩基からなるDNAと10種類の文字からなる数字ではスケールが違いすぎると思われるかもしれませんが、今皆さんがこの記事を読んでいる携帯電話やパソコンの基礎にあるのは2進数のプログラムです。
どういうことかというと、あらゆる情報機器は0と1の組み合わせで作られたプログラムが基礎となっているのです。
いま手元にある携帯やパソコンも、世界一のスーパーコンピューターもそのプログラムは全て0と1の組み合わせで定義されており、それらはある意味情報機器のDNAとも言えるかもしれません。
逆に生物は自然界の作り出したスーパーコンピューターであると言っても過言ではないかもしれません。

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スーパーコンピューターも日常的に使っているコンピューターも元にあるのは0と1からなるプログラムだ

それだけではありません。
DNAを含め、私たちの身の回りにあるあらゆるものを構成している原子はほぼ電子・陽子・中性子のたった3つの素粒子の数の違いだけで定義されています。
私たちが吸っている空気と携帯やパソコンが全く違って見えるのもこのたった3つの素粒子の数が異なるからなのです。
どんなに高性能な顕微鏡を持ってしても見ることのできないような3つの小さな粒の数で定義されている世界において、4つの塩基で構成されているDNAには十分な情報量が秘められているのかもしれません。

ではなぜ行き詰まった時に読んで欲しかったのか。
もうお気づきいただけるかと思いますが、身の回りのどんな複雑なものも基礎にあるのは本当に限られた数の因子で作られているのです。
「塵も積もれば山となる」という言葉がありますが、私たちは小さな「塵」が積もり積もってできた「ヤマ」のようなものなのです。
そんな中で行き詰まっても何も焦る必要はなく、小さなことを少しづつ積み重ねてゆけば良いのです。
どこか安心しませんか?

2. DNAの研究史

ここまでで私の書きたいことはほとんど書ききったのですが、せっかくなのでDNAの研究史についても書きたいと思います。
DNAが遺伝子情報を持っていると気づかれ始めたのは1930年ごろのことです(割と最近ですね)。
肺炎を引き起こす細菌のうち重症化するものと軽くで済むものに関しての研究がきっかけです(この違いは遺伝子情報の違いで引き起こされています)。
重症化する細菌を熱殺菌し、その遺骸を軽くで済む細菌とともに培養した際に重症化する細菌が現れたのです。
この時点でタンパク質が関係している可能性はほとんど否定されます。
というのはタンパク質は高温で変質してしまうので、遺伝子情報を伝えることができないからなのです。

追加の検証によってDNAの遺伝情報への関与がより濃厚になります。
技術の発展によりDNAを含め細胞内の器官をそれぞれ個別に取り出すことができるようになり、より正確な実験を行えるようになりました。
その結果重症化する細菌のDNAのみを取り出し、軽くで済む細菌と培養したところ、先の実験と同じ結果が得られたのです。

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 アルバータ大学建物にあるDNAのアート作品

その後も大腸菌とファージウィルスを使った実験や、それぞれの塩基の数を見た実験などもありますが、それらはまたの機会に書ければと思います。
DNAの研究は割と最近始まったものであり、その間にものすごい進化を遂げてきたのだと思っていただければ幸いです。


いかがでしたでしょうか?
日頃当たり前のことも、少しアプローチを変えてみると全く別のものに見えてしまうものです。
この記事に興味を持っていただけたらコメントやシェアしていただけると幸いです。
それでは。

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